Eriko Ito

東京の、とあるソーシャルセクター(中間支援NPO)に勤めて約6年。期間限定でSeattleのNPOに参画後、帰国して出産しました。NPOスタッフが感じるあれこれを発信していきます。

Seattleの市民性とLGBT Friendly & Black lives matter

どこに行っても「私の地域はこんな気質!」というお国自慢がありますよね。日本を例にあげると「礼儀正しく、静かで、綺麗好き」。そんな気質は(他の国と比べると)多くの人が持ってるものだなぁと思いますが、Seattleは「Progressiveである」というのが誰に聞いても「そうだね」と返ってくる市民性の一つです。

 

Progressive = 進歩的である、革新的である

 

という意味なのですが、「私たちは、伝統的な悪しき慣習に対して堂々と” NO!!! ”と言う!」というのがSeattle市民の誇りの一つ。

その一つの象徴的なものは「LGBT Friendly」。

Public Sectorもその意を分かりやすく表しています。例えば道路。

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全ての道路がレインボーカラーになっている訳ではありませんが、downtownに程ちかい、Capital Hillというエリアにおいて、レインボー横断歩道を見ることが出来ます。最初はPublic sectorがこうした取り組みを行うなんて信じられなくて半信半疑でしたが、地元の人に尋ねたら、「横断歩道が分かりやすくなることと、LGBT Friendlyの二つの意味を表すためにこうしてるのよ」と言われました。

 

その他にも、街中にある普通のペットフード屋さんの入り口にレインボーフラッグがかかっていたり、

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画材屋さんにもかかっています。f:id:ErikoKawaguchi:20170802132909j:plain

 

ここも何か特別な施設というわけではなくて、普通のレストラン。

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私が通うCommunity collegeにもかかっていました。 

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個人のお宅はどうかというと…レインボーフラッグを窓に掲げているおうちもあれば、↓こんな感じで可愛いミニフラッグを玄関先にかけているところもあります。

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もう一つ。Seattleに来て「Progressiveだなぁ」と思ったのはこれ。

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「Black lives matter」の看板。「黒人の命だって大事だ」とでも訳したらよいでしょうか。

視点をアメリカ全土に広げてみると、人種差別による事件が後を絶ちません。(特にアメリカ南部)。

私がSeattleに到着した時には、「非武装の一般市民(黒人)が警官に取り囲まれた末、警官によって射殺された」という事件がおきていました。その一般市民は、警官に取り囲まれ、車から降りて手を頭より上に挙げ、自分の車に手をついて非武装および従順の意を示していたにも関わらず、です。

まだまだ人種差別的な見えない偏見によって失われる命も多くあり、それに反発するかのごとく、「Black lives matter」の看板もSeattle市内のあちらこちらで見ることができます。

 

もう一つの看板は、黒人差別問題だけではなく、LGBTやその他の差別に対しても反意を表すもの。

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 こんな風に普通の家の玄関先においてあります。

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 もちろん、手作りしてるなんてことは無くて、ちゃんとAmazonで売ってます。

Black lives matterの方は$16.99(約1800円)

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Rainbow flagは格安で$4.62。

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downtownにも、LGBT centerがありますし、そもそもゲイカップルも沢山街中にいます。(そしてレズビアンとは言わず、女性同士のカップルもゲイと言ったりします。Policemenが男性しか指してないじゃないか!となって、Policeofficerと改称になっていますが、それと同様のことがLGBTの呼称にも起きているよう。)

 

「Love is Love」ですね。

 

「私たちはProgressiveである」と誇りに思うからこそ、旧来の価値観とは違う(そして旧来の価値観では虐げられてきた)事が表面化した時に、市民一人ひとりが「私は、新しい価値観を支持する」と強く表明できるのかもしれません。

 

市民性は市民一人ひとりが作る。

 

そんなことを体感しています。