Eriko Ito

東京の、とあるソーシャルセクター(中間支援NPO)に勤めて約6年。期間限定でSeattleのNPOに参画後、帰国して出産しました。NPOスタッフが感じるあれこれを発信していきます。

夫が1か月のワンオペ育児を経験して何が変わったか

私、生後10か月の娘が居ながら、1か月間ボストンに滞在していました。

日本のソーシャル・セクターの女性リーダー向けに提供されている、Japanese Women Leadership Initiativeという、ボストンをベースに活動を行うフィッシュ・ファミリー財団が提供するプログラムに参加するために、です。

それに参加して自分の人生がどう変わったかはまた別に書きたいと思っていますが、

みんなから同じことを聞かれるんですね。

「その間、娘さんはどうしたの?連れて行ったの?」と。

実はこのプログラム、子連れ参加NGのプログラムなんです。アメリカは未成年の保護者に対する規制が非常に厳しい国(すぐに虐待で通報されたり)ということもあって、子連れ女性に対してサポートを提供するまでは難しく、どうにかして1か月間、子供を日本に置いていかなければならない状況でした。

 

生後10か月といえば、離乳食中期で少しずつ喃語も出てきて、ハイハイも少しできるようになって…と可愛い盛りです。当然ながら、私の心の中には「こんな可愛い子の1か月を捨ててまで、私が、今、このプログラムに参加する必要があるのだろうか」。

 

そんな葛藤がずっーーーーーーーーと残っていました。

 

そんな状態だった私がプログラムに参加した理由は、一つは夫の存在があります。

夫がどんな人かというと、

 ・誠実

 ・裏表がない

 ・誰に対しても丁寧

 ・滅多な事では怒らない、イライラしない

 ・論理的で合理的判断の塊

といった人です。

あ、そうそう、忘れてましたが何より、「娘LOVE♡」です。その次ぐらいに私が来ていると…いい…な…という感じですが、私という2番手がいることを感じさせないぐらい、,<<< 娘推し >>> な激甘デレデレパパです。

 

年齢が17歳離れている年の差婚ということもあって、30代・40代のキャリアの築き方を考えていかなけれればならない私にとって、良いメンターでもあったりします。

 

そんな中で、今回のこのプログラムへの参加、実は夫が激推ししてくれたから実現したものでした。

 

1か月、子供を置いてボストンに妻が行く。

 

この選択を妻が気後れしているにも拘わらず、「絶対、行くべきだよ」と背中を押してくれる夫はこの世の中に一体、どれぐらいいるでしょうか。(いっぱいいることを願ってます)

 

多分、一度でも夫が「やっぱり…ちょっと心配だから…止めてほしいかな…」とでも言ったら、

 

「やっぱり!?!?そーーーーーだよね!!!わかった、すぐ事務局に辞退の連絡する!!!」となっていたと思います。

でも、夫は一度も言いませんでした。むしろ、このチャンスをどう生かすべきか、夫婦で色々話し合えた、とても良い機会になったと思います。

 

一方で、現実問題、夫は仕事は超絶忙しく、土日もフル稼働しているような人間です。平日の夜、子供が寝る前に帰宅できる日が週1日あれば良い方…というぐらいなので、夫がワンオペ育児をするためには、色々な準備を整える必要がありました。

 

頼った先は、

①義母(夫の母):元教師。区立保育園での保育補助業務従事経験あり。

②ベビーシッター:本業ではないものの、こどもに関わる経験あり。

の2人の方。

義母には、夫がお迎えが難しい日のサポートを、ベビーシッターの方にはゴールデンウイーク期間中の日中のシッティングをお願いしました。

 

そんなこんなで、私が一人で子供を見ている時よりはかなり体制が厚いものの、無事1か月間、海外研修に行く機会を得られました。

 

手厚い体制を整えたものの、ワンオペ育児という状況に変わりはありません。

夫は、一人で朝、子供を保育園に連れていき、仕事が早く終われる日はお迎えに行き、ごはんを作り、お風呂に入れ、寝かしつける。

そんな1か月のルーティンの中で、

 ・私が行き忘れた乳児健診に連れて行き。(これは本当ごめんw)

 ・急な発熱に対応し。

 ・保育園から日々指示されるアレコレに対応する。

そんな日々を送ってもらったところ…

 

1か月の研修を終えて、帰国したら、なんだかより「一緒に育児をしている」感覚が強まったような気がします。

 

■変化その①:「”今”来てほしい」の暗黙の共有値が高まった

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そもそも娘LOVEなので、育児全般を私抜きでやれるぐらいではあったのですが(1か月も離れる前には何回も夫のワンオペ育児は経験済み)、

帰国後、「あ~~~、”いま!”、ちょっときて手伝ってほしいんだけどなぁ」という、見えない要望を汲み取ってくれることが増えました。

元々、「必要な箇所に手助けにいく」ということは当たり前にしていた夫ですが、ワンオペ育児を経験して「必要な箇所」への想像の範囲が相当広がったようです。

 

極端に言うと、育児って一人でやろうと思えばやれるじゃないですか、めっっっっっちゃ大変で辛いですけど。(もう一度言いますけど、大変すぎて、辛いですけど。)

 

で、その中で「手がもう2本あれば、楽なのに」とか、「気晴らしに誰か居てほしい」とか、そういう要望ってあると思うんです。

 

うちの場合は夫のワンオペ育児経験後、この「特に要望してないけど、来てくれたら嬉しい」というタイミングに絶妙に来てくれるようになりました。

これ、地味に嬉しいんですよね。地味すぎてお礼言い忘れるぐらい。

しかも、「手伝ってくれる?」と頼むには小さすぎる頼みでわざわざ下の階から呼び出すほどでもないし(我が家は2階建てです)、むしろお願いするためにタスクを整理して切り出したりする方が面倒、というときが以前はあったのですが、今はほとんど無くなりました。

これが精神的に一番嬉しい…です。

■変化その②:「自分で先回りして調べる」ことが増えた

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「ママがこどもの事をよく考えている、方法を提案してくる」のは何故かということを考えると、それって「じっくり観察し、その症状や状況を検索し、同じ状況の子どもにどう対応しているか、ぐぐってる」ということだと思うんです。

 

お座りをサポートするためにコレ買おうよ、とか。ベビーゲート、そろそろ買わなきゃ、とか。

色々な情報が入ってきたり、自分で探しに行ってるから提案できるんですよね。我が家も以前は、全て私がリードしていました。

…が、ボストンから帰ってきた時、私では気づかない視点で娘を見て、対応を検索したり、それを私に共有してくれたり。

異なる視点2つから娘の成長を見守る体制ができた、という風に感じています。こうして信頼できるパートナーがいることは育児を行うことにおいて本当に重要だと思います。

 

■変化その③:夫の育児手法、考え方へのリスペクトが生まれた

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この変化は夫じゃなくて、私の変化かもしれませんが、さすがに1か月間も育児をすると夫も学びます。笑

だから、夫が提案してきた事や感じたことに対してリスペクトを持って接するようになりました。(それ以前はなんだったんだ、という話でもありますが。笑)

結局、育児って正解がないものなので、夫婦で話し合って自分たちなりの正解を見つけていくしかないと思うんです。

その意味で、「娘の状況を十分理解し、お互いに対等に話し合えるパートナー」になったということは非常に大きいなと感じました。

 

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「夫のワンオペ育児」(妻は仕事)、となると今の日本社会だととにかく

 ・まあ、旦那さん、偉いのね~~~~!

 ・奥さん、小さいお子さんがいるのに放置するだなんて…母親失格よ!

みたいな風潮になりがちなところ、今回、夫からのサポートがあって自分にとって無くてはならない1か月間を過ごすことができました。

夫以外にも色々な方からのサポートを頂いて実現したことではありますが、私一人で1か月間、娘をワンオペ育児しろと言われたらしんどいのに(笑)、よくぞ積極的に送り出してくれたなと感心するとともに、本当に感謝しています。

 

私自身の変化は別途書きたいと思いますが、仕事をバリバリこなしていた女性が出産後も同じように社会に価値を提供し続けられるように。

今回がよい1事例になったらいいなと思っています。