Eriko Ito

東京の、とあるソーシャルセクター(中間支援NPO)に勤めて約6年。期間限定でSeattleのNPOに参画後、帰国して出産しました。NPOスタッフが感じるあれこれを発信していきます。

産後ケアセンター体験記(前編)

卓球の愛ちゃんが台湾の産後ケア施設に1ヶ月入ったことで日本でも一気に知名度があがった産後ケアセンター。私も元々知らなかったのですが、初めて聞いたのは卓球の愛ちゃんの報道の時だったかも。

 

産後ケアセンターとは、その名の通り、出産した病院を退院して、そのまま入院する施設のこと。

 

産褥期の体を休め、しっかりと回復させるための「母子のための施設」です。

 

日本ではまだ使用する方が少ない…ような気がします。…が、私は入ってみて「本当に良かった!第二子の時も絶対入る!」と心に決めるほど、とても価値が高い施設だなぁと思いました。

 

…ということで、「産後ケアセンターに入ったら、どんな一日を過ごすの?」、体験レポートを書いてみました。

 

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【産後ケアセンターに入った目的と理由】

そもそも産後ケアセンターに入ろうと思ったのは、周辺の先輩ママ達が「産後は本当にヤバかった!!」と口々に言っていたから。

 

夫が育休を取ったり、それぞれの家庭で乗り切り方を考えて対処してきたことだと思いますが、私の場合は

 

・夫の育休取得は私自身が望まなかった(絶対イライラする。精神衛生上よくない。)

・実母との関係性が良くないので里帰り出産の選択肢は無し。家に手伝いに来てもらうのも産後の不安定な精神状態を考えると絶対無理。

・睡眠時間が短くなると気分が不安定になりやすい。ある程度はちゃんと寝たい。

・初めての育児で知らないことが多かった。誰か相談できる人が欲しかった。

 

…という点から、まずは産後ケア入院という選択肢を取りました。

 

…書き出してみると、母体の物理的な回復よりも、精神面でのメリットが大きくて入院したという理由が大きいですね。

だって、皆がみんな、「ホルモンバランス崩れて、結構ほんとにヤバいよ!突然夜中泣き出したりするよ!周辺の人へのイライラが止まらないよ!」みたいな事を言ってたので、短絡的にバシっと離婚届突きつけそうなタイプの私としては、落ち着くまで産後ケアセンターに入っておいた方がいいだろうなと。笑

(きっと離婚届取りに行く時とか、そういう時は物凄い行動力を発揮するんだろうなぁ。笑)

 

概ね、目的は達しましたが、唯一「ゆっくり寝たい」だけは叶いませんでした。。それも含めて産後ケアセンターでどのように1日を過ごしていくのか、書いていきます。

(※館内はプライバシーへの配慮で撮影禁止だったため、写真は全て公式ウェブからお借りしたものです。…が写真と実際の館内は、全く相違がないキラキラ感です。笑)

 

【私が入った産後ケアセンター】

マミーキャンプ東京ベイ

http://mammycamp.jp/

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【朝5時: 授乳時間@自室】

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マミーキャンプでは、授乳時間になると部屋に備え付けの内線が鳴り、赤ちゃんを自室まで連れてきてくれます。(それ以外の時は、自室で赤ちゃんを見ていてもいいし、ベビールームに預けていても良い)

初産の場合は、中々母乳が出ずに苦労する人が多いのですが、この施設ではケアスタッフが授乳中、ずっと隣に居て授乳指導をしてくれます。

 

・乳首のくわえさせ方(「赤ちゃんのお口がもうちょっと大きくあくといいなーー」、「奥までくわえられるかなーー?」等)

・抱き方(赤ちゃんの大きさとママの体つきを見て、「縦抱き」、「横抱き」、「フットボール抱き」等の抱き方を色々試してくれる)

・授乳中の話し相手(笑)←何気にこれ大事。笑

 

私の場合、とてもとても母乳が出にくいタイプで毎回、赤ちゃん大激怒w

そんな時は、ケアスタッフが赤ちゃんを両手で持って、「がぶっ」ってくわえられるまで何度もトライしてくれます。(私は胸を前に突き出してるだけ。w)

時間にして、一回の授乳時間は30分程度。その間、ずっと付きっきりで居てくれるのはとてもありがたい。

授乳が終わったら、ミルクを作って部屋まで持ってきてくれるので、それを待ってミルクを足します。

【朝6時:シャワータイム】

授乳で大奮闘wした赤ちゃんは、部屋に備え付けのベビーコットの中ですやすや。

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その間にささっとシャワーに入ります。シャワールームは、バスタブの無いシャワーだけのものが各部屋に備え付けてられています。

勿論、ホテルかのごとく清潔で、アメニティも充実。(良いホテルに良く置いてある、良さそうなあれこれ…が置いてあります)

バスタオル、ハンドタオル等は、毎日入る清掃のタイミングで新しいものに交換してくれるので心置きなく(笑)、どんどん使えます。(悪露で汚れちゃうんですよね。。)

 

【朝7時:細々とした事+赤ちゃんとラブラブタイム】

洗濯は、専用のカゴに入れておけば翌日戻ってきます。

館内着(割と可愛い。少なくともダサくはない。笑)やタオル、赤ちゃんの洋服等を入れて洗濯に出したり、

夜間の(書くのをサボった)授乳記録を付けたり、

むずむず起き出した赤ちゃんをベッドの上で愛でたり💖

ゴロゴロ・ウトウトしながら朝食の時間を待ちます。

 

【朝8時: 朝食】

朝食の間、赤ちゃんはベビールームで預かってもらいます。

ダイニングで思い思いの席に座り、部屋番号を言って運ばれてくるのを待ち…

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朝からボリュームたっぷりのご飯をパクパク♡

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もちろん毎日、違うメニューで栄養バランスも考えられているので毎回のご飯が一番の楽しみだったと言っても過言ではない!笑

 

【朝8時30分: 授乳タイム】

この施設では、2時間半おきの授乳リズムが推奨されていたので、もう授乳タイムです。。

(前回の授乳+ミルクの終わり時間が朝6時。そこから2時間半後の8時半には、また授乳タイムを知らせる内線が鳴ります…)

 

今回も毎度おなじみケアスタッフさんがついてくれて授乳をします。

毎回、違うスタッフが来るのですが、前回話した事・不安・指導された事などがちゃんと引き継ぎされており、同じ事を何回も言う必要がないのはとっても楽でした。この辺りは、病院を運営している医療法人のノウハウが生かされてるのかなぁ。

 

【朝9時30分: 朝寝タイム】

授乳が終わったら赤ちゃんをベビールームに預けて、念願の…!念願の朝寝タイムです。

ベッドに横になった瞬間にパタンと意識が落ちました。。

【正午: 昼食】

本当は、授乳タイムだけど「お腹空いてますよね〜、先にご飯行って大丈夫ですよ〜」というケアスタッフさんからのお言葉によりランチに。

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「お代わりって出来るのかな…」「聞いてみようかな…」「いやいや、周り、誰もお代わりしてないじゃん!」という葛藤と戦って(だってお腹空くんだもん!笑)、同じくお腹を空かせているはずの赤様を迎えに行きます。(お代わりしている場合ではない…)

 

【12時30分: 授乳タイム】

そんなに短期間で母乳が出るようになる訳もなく(笑)、相変わらず赤ちゃん大激怒wの授乳タイムを何とか乗り越えます。。

 

【13時30分: ハーブテント】

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穴が空いた椅子に裸で座り、下から上がって来るハーブ蒸気に蒸されるというもの。笑

会陰切開でまだ座るのが痛かったので、蒸気を集中的に当てて「治れ〜治れ〜〜〜」と念じてました。笑

ハーブは何種類かあるので好みの香りと効能で選べます。

何よりこれ、無料なんですよね。。2日に一回が適度な間隔らしいので滞在中は2日ごとに予約をいれてました。気持ちよかった♪

 

【14時: 足湯+読書】

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足湯も予約なしで使えるので、ポカポカ体を温めながら読書。会陰切開の傷が痛すぎてお風呂にしばらく入っていないので、足湯は癒されました。。

【14時30分: 骨盤マッサージ】

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マッサージチェアーも無料で使えるので、骨盤矯正の為にもこの上でグダグダ。

その後、お部屋に帰ってゆっくり寝転んだり、お茶を飲んだり。

15時あたりにはおやつが出て来るので、それを食べて空腹を紛らわせます(授乳中の食欲、ほんと凄い。笑)

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【16時: 授乳タイム】

ベッドの上で微睡んでるときっちり2時間半で鳴る内線。笑

お約束のギャン泣き授乳タイムです。。

 

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長くなったので、ここで一旦切ります。

…読み返してみると、わたし、グダグダしてばっかりだなw

実際には、何日か滞在してると赤ちゃんがベビールームに居るのが寂しくなってしまって(笑)、預けずに部屋で一緒に居るのが多かったです。

 

家事や雑用から離れて体を回復させるための施設なので、とにかくゆっくり出来たのは本当に良かった。

 

…が、書いてみて思ったけど、出産を経験してない男性から見たら「なんだよ、俺が稼いだ金でこんな良いところでダラダラしやがって」みたいに思うのかしら。(うちの旦那さんはそういうの無いけど)

 

実際には、

・体はまだ会陰切開の傷が痛むため、まともに座れない

・下半身が痛むため、まともに歩けない(ペンギンのようにすり足でヨタヨタと歩くぐらい)

・赤ちゃんが上手に吸えないのに、母乳自体は作られるので胸が張って激痛。うつ伏せ・横向きで寝ると自分の重みで胸が潰れて激痛。かといって仰向けで寝ると重力で左右に下がろうするので引っ張られて激痛。つまり、どうにもこうにも激痛。

・仮眠を取ろうとしても、「赤ちゃんがちゃんと息をしているか」が不安になって、ふと目が覚めてしまう。ベッドを離れて赤ちゃんの呼吸を確認しないと不安で不安で仕方がない。

 

…みたいな感じで、肉体的・精神的に産後は高い負荷がかかっていた。

それに耐えながら、旦那さんの食事の用意?洗濯?部屋の掃除?

そんなの出来る訳がない。(少なくとも私は無理だった。最初から諦めた!w)

 

ここにいれば、

・栄養バランスが取れた自分の食事が勝手に出てくる

・赤ちゃんを見てくれる人が自分以外に沢山いる

Amazonやら配達やらが来ないw(←これ、何気に結構負担が大きい。笑 ようやくうつらうつらした所を起こされたり)

 

…みたいな感じで、自分と赤ちゃんに集中出来て体をケア出来るので、負担感が全然違ったんだと思う。

 

奥さんが辛い思いをするのを見ていられない」と思う男性は、

ぜひ産後ケア入院を奥さんに勧めてあげてほしいのと、

産後の身体はホント辛いということを毎日呪文のように念じて自分が気がついたケア、気遣いをしてあげて欲しいなと思います。